歴史・時代小説 

うそうそ
うそうそ
新潮社
price : ¥1,470
release : 2006/05/30

しゃばけ
しゃばけ
新潮社
price : ¥540
release : 2004/03

すっごいよかったです!!

最初から、おもしろくって止らなくなるような本です。
登場人物たちも、すごく個性豊かで大好きになれます。
主人公の若だんな一太郎はとっても優しく、頭のいい少年です。
一太郎のまわりには世話をしてくれる仁助、佐助のおせっかいぶりが
みどころだし、小鬼がとってもかわいいし、屏風のぞきも好きです。
話の展開もすごくよくって読みやすいですよ!!

みなさん、ぜひ読んでみてください☆

秀吉の枷 (上)
秀吉の枷 (上)
日本経済新聞社
price : ¥1,680
release : 2006/04/18

秀吉の枷 (下)
秀吉の枷 (下)
日本経済新聞社
price : ¥1,680
release : 2006/04/18

小説 SAMURAI7〈第1巻〉
小説 SAMURAI7〈第1巻〉
ゴマブックス
price : ¥1,050
release : 2005/10

まずは無難な滑り出し。

まずこれは、「サム7」ファンのためのノベライズなのだということ。アニメにハマって、その世界観や設定など、このシリーズを骨の髄まで味わいたいっって向きには必読かもですよ。

さすがにメインスタッフの方が書かれてるだけあって、ストーリーや設定もアニメに忠実です。
多少はエピソードが前後してるけど、ちゃんと、7人が全員出てくるのが嬉しい限り。
彼らの過去にも触れられてますが、「ええっ!?」って意外性はないかもです。
登場人物の中でも一番にキュウゾウが好きな私としては、彼の過去がちょこっと出てきたので、今後の彼が非常に気になります。(特にヒョーゴとの関係が……)

いや、一番のサプライズは、ウキョウの過去だったんですが(笑)

最後の段に、ヒョーゴとカンベエの対戦が来るのが、意外でした。
あのキュウゾウとカンベエのチャンバラは次巻になりそうですね。どう文章で見せてくれるのか、とても楽しみです。

おまけのこ
おまけのこ
新潮社
price : ¥1,365
release : 2005/08/19

マンネリ?でも面白い♪

天城屋が真珠を預けた櫛職人の八介が何者かに襲われた。襲ったのは
誰なのか?そして真珠も行方不明。おまけに鳴屋も迷子になって、
長崎屋は大騒ぎ。若だんなの一太郎が事件解決に乗り出すが・・・。
表題作を含む5編を収録した「しゃばけシリーズ」4作目♪

一太郎は体が弱く、佐助や仁吉はそんな一太郎を大げさなほど心配
する。栄吉は菓子作りが下手だ。みんないつもの通りなので、読んでいて
ほっとする。起こる事件は何だか不思議な事件ばかりだが、一太郎は
持ち前の鋭さで見事に解決していく。5編の中では「こわい」の話が
よかった。人の心の隙にすっと入り込んでくる「こわい」は、その名の
通り怖かった。だが、シリーズ4作目となるとちょっとマンネリ化の
ような気がしないでもない。でも、それでもこれからも読み続けたいと
思う魅力がこの作品にはある。このシリーズがこれからもずっと続く
ことを願っている。

ねこのばば
ねこのばば
新潮社
price : ¥1,365
release : 2004/07/23

暖かいだけじゃない話

「しゃばけ」「ぬしさまへ」と続く、薬物問屋の若旦那一太郎と、その若旦那が好きで好きでしょうがない妖怪たちの短編集の三冊目。
今回はやけに元気な若旦那の話から始まって、なんだか少し様子が違ってます。犬神佐助の過去話なぞが涙腺がぐっと緩みます。
そして若旦那の小さなささやかな世界でも、確実に変化が起こっていることを感じさせてくれることがあちこちに。
暖かくほのぼのしているだけじゃない後味の残る、不思議な話がたくさん詰まっている本ですね。
ぬしさまへ
ぬしさまへ
新潮社
price : ¥500
release : 2005/11/26

信長の棺
信長の棺
日本経済新聞社
price : ¥1,995
release : 2005/05/25

庶民の視点と牛一のシブい役回りがポイント

本書の主人公は信長でも太田牛一でもない。歴史の大事件が実は私たちの知る英雄でなくそれを影で支えた人々によって成し遂げられたという視点が本書の根底にある。前野氏(長康)、丹波、清玉上人、切支丹といったキーワードをもとに歴史の数々の謎を結び付け、最後に英雄信長の最期と当時死んでいった庶民が意外なところで出会う。舞台回しである太田牛一の役回りは2つ。一つは、当時のもの書きとしてのさまざまな葛藤に携わった生き証人としての役割。信長の伝記を記した者が次の時代の覇者秀吉に対してプライドを賭して対決するくだりなどは、独特の味わいがある。本書を書くに当たって様々な史書に当たらねばならなかった筆者自身の葛藤が生み出した世界とも言えよう。いま一つは、個人的に信長を知り愛していた者が、信長に家族を殺されたものや信長を暗殺しようとした人々など、時代に蹂躙された庶民たちに対面する役割。様々な感情が交錯する中での会話から信長像を立ち上げていく。最後に、信長と当時の日本の状況を「コンフェイト」と「暦」の2つを巡るエピソードから描写する。現代にも通ずる日本の閉塞感というのが浮き彫りにされ、単純な叙述ながらうまいと思ってしまった。
女信長
女信長
毎日新聞社
price : ¥1,890
release : 2006/06

坂の上の雲〈3〉
坂の上の雲〈3〉
文藝春秋
price : ¥620
release : 1999/01

将のあり方

本シリーズの主役ともいえる日露戦争の開戦前後がこの第3巻。

本シリーズを通して、痛いまでにまっすぐ、国家の為に身をささげる人々の思いをびんびん感じてきたが、中でも特に印象に残った場面があった。

日露戦争における海軍を作り上げた山本権兵衛がかつて海軍大臣を務めていたとき、日露戦争での主役となる旗艦“三笠”を英国に発注。しかしながら、資金繰り逼迫で万策つき、どうにも前払い金が払えない。時の内務大臣西郷従道は、事情を聞き終えると
『それは山本さん、買わねばいけません。だから、予算を流用するのです。むろん違憲です。議会で追及されて許してくれなんだら、二人で腹を切りましょう。二人が死んで主力艦ができればそれで結構』

本当に胸が熱くなりました。この時代にはこんな人材が少なからずそこら中にいた、、、というより、武士の魂を色濃く残す当時代の常識的な生き方なのですね。

覚悟が違います。本気度が違います。自分と比べて余りの違いに愕然としました。

本シリーズを通して上記のような精神に随所で出会うことができます。

坂の上の雲〈1〉
坂の上の雲〈1〉
文藝春秋
price : ¥620
release : 1999/01

【商品詳細】

同じ松山で生まれ育った正岡子規と、日露戦争で活躍した秋山兄弟。子規は病と闘いながら俳諧の革新に挑み、秋山兄弟はそれぞれ日本の騎兵、海軍の技術向上に尽力した。当時最強とうたわれたロシアのコサック騎兵を打ち破るべく、ひたすら仕事に打ち込む兄好古と、文学の世界に未練を残しながらも海軍に入隊し、海軍戦術を研究し続けた弟真之。2人のまじめな努力の成果は、歴史が証明している。誰もが立身出世を目指した時代に、彼らがどうやって自分の人生の意義を見出したのか。そんな視点から読んでみるのもおもしろい。 司馬遼太郎の大河小説の中でも、本書は特に評価が高く、ビジネスパーソンをはじめ、多くの人々に読まれている。改革の時代にこそひも解きたい、そんな1冊である。(土井英司)

明治とは・・・。

明治時代。
江戸幕府が崩壊し新しい価値観が生まれた時代。
立身出世欲がある人間で才能があれば誰でものし上がっていけた時代。列強の圧力が益々強くなってきていた時代。
そんな時代の雰囲気を的確に捉え、時に鳥観的に時にはその人物の目線からその人物になりきった台詞まわし。
どれをとっても司馬氏の冷静なデーターから基づいたストーリーと明治の人間を賞賛する氏の情熱が入り交じった圧巻の物語であった。
1巻目は主に好古を中心に物語りが進む。後の陸軍英傑とはとても思えないノホホンとした人物像のギャップが面白く、ただお金の問題で陸軍学校に入ったというのも時代柄だなあと感じる。
坂の上の雲〈4〉
坂の上の雲〈4〉
文藝春秋
price : ¥620
release : 1999/01

乃木神話の現実

徹底した事実調査を背景に、著者の鋭いメスが容赦なく振り下ろされる人物が多く登場します。

神格化までされた、乃木将軍もその一人。

藩閥政治の寵児として、出世を果たしたがその能力はと言えばはなはだ疑問であるとばっさり。歴史に弱い私でも乃木将軍の話は聞いたことがありました。その記憶と著者の描写とのあまりの落差に驚きを禁じえませんでしたが、著者の描写が限りなく事実に近いのだろうと思います。

人格には優れていたが、知識がなく、結果能力のない参謀である伊地知を見極めることができなかった。それが旅順総攻撃の惨憺たる悲劇を生むことになる。

鉄壁の要塞を前に、初めて目にする機関銃の掃射で、仲間の兵士がごみのようにあっけなく殺されていく。殺されても殺されても、士気を失わず、国家防衛のため自らの命を喜んで差し出す兵士達の凄まじいまでの気迫、気概に心を打たれると同時に、多数の死傷者を生み出した作戦の虚しさにやるせなさを感じました。

坂の上の雲〈2〉
坂の上の雲〈2〉
文藝春秋
price : ¥620
release : 1999/01

日清戦争〜参謀真之の誕生

日清戦争での、日本の胸のすくような活躍に心が躍った。

硬直化した官僚組織の脆弱さ、小国ながらも、ようやく文明社会の一員として勢いよく成長をはじめた組織の強さというものが明瞭に表現されている。

この硬直ということはすべての成熟した組織に当てはまるもので、私もある大手銀行に勤めている身であり、痛く感じるところがあった。組織の硬直化ということでは、国も企業も関係ないものだと思う。

そして、海軍参謀真之が誕生するまでの成長振り、、、子規の晩年、、、明治男の愚直な眩しいまでの誠実さにことごとく心を奪われた。その後の世界大戦との大きな違いをまざまざと感じさせてくれた。歴史の教科書だけでは学ぶことのできない、重要な史実であると思う。

本当に素晴らしい作品です。先が楽しみ。

〜日本の学校でもこういうものを教えてあげればいいのになあ、まず勉強が楽しくなるような気がするのですが、、、

香乱記〈4〉
香乱記〈4〉
新潮社
price : ¥540
release : 2006/04

坂の上の雲〈6〉
坂の上の雲〈6〉
文藝春秋
price : ¥620
release : 1999/02

悲しみの章

本巻には203高地攻略においてロシア陸軍の大砲という兵器に対し、機関銃と兵力だけで対抗するという愚行を幾度も繰り返し屍の山を重ねる日本軍の悲惨な状況が克明に描かれています。陸戦に対する固定概念に固執し、かつ最前線から離れた兵営にて現況を感じることのできない日本軍中枢部の愚かさが読むものにはたまらなく、とても切ない気持ちになります。戦略変更を断行すべく苛立ちと怒りに震える児玉源太郎、しかしながら当時の指揮官に対する気遣いからあくまで表立った更迭すら行わず、影となり指揮を振るった児玉の日本人としての行動等、本書において初めて知った日本人が多いのではないでしょうか。しかし、彼のこのような気遣いが逆に本人の寿命を縮めてしまい、更迭を免れた指揮官が戦後最大!!!功労者として国民から神格化されてしまいます。これこそ運命の皮肉と言わざるを得ません。その一方、艦載砲を陸に揚げて203高地を撃破したり、秋山好古によるコサック騎兵隊への機銃砲攻撃等、合理的かつ斬新な戦法でかろうじて勝利を収める経緯は読むものを引きつけます。
坂の上の雲〈5〉
坂の上の雲〈5〉
文藝春秋
price : ¥620
release : 1999/02

旅順陥落

旅順での乃木司令部の余りのまずさに、ついに別の場所で開戦の指揮をとっていた児玉が、旅順の指揮に乗り出す。

簡単なことに見えるが、軍の内部でそのトップが交代するということはとんでもないことというのが常識であった。何も、官僚的な組織論から出た考えではなく、兵士の士気等戦争には欠かせない重要なものがそれにより失われるということが現実によくあったのだろう。

しかし、それを児玉は見事に、組織を崩壊させることなくやってのけた。しかも、その後すぐに203高地(旅順攻略のポイントとされた場所)を陥落させる。方法はいたって単純で、分散していた兵力をこの1点に集中させたのである。

逆に言えば乃木司令部、特に無能であると著者の切り捨てられた参謀伊地知はこんな当たり前のことをかたくなにやらなかった。

児玉の活躍はまさに痛快であった。歴史的には表面に出てくることのないこの大活躍を著者は見事に描写してくれた。素晴らしいことだと思う。

坂の上の雲〈8〉
坂の上の雲〈8〉
文藝春秋
price : ¥620
release : 1999/02

じんわりと残る感じ

1巻から8巻までやっと読み終えた。読了後、不思議と、心を激しく動かされるような感動は無かった。この「坂の上の雲」は「小説」とはいえないからだろう。

この作品は、日露戦争という事件を、なるべく客観的に書いた叙事詩といえるものだと思う。秋山兄弟、正岡子規、東郷、乃木と、いろいろな人物が出てくるが、彼らの私的な感情は殆ど描かれていない。むしろ、私的な感情を抑え、対ロシア戦争で勝利するという目的の下で、自分の役割を規定し、邁進していく生き様が描かれている。自己を犠牲にして、大きな目的のために邁進していく生き様が、現代で生きている自分にとっては新鮮で小気味良かった。純粋にかっこいいと思った。その感慨が、自分の中にじんわりと残っていく感じだ。

乃木将軍は有能な司令官ではないが、偉大な精神者として描かれていた。「精神主義と規律主義は無能者にとっての絶好の隠れ蓑である」という一節が自分には印象に残った。自分にとっては、乃木将軍の気高い精神はかっこよく思えた。

坂の上の雲〈7〉
坂の上の雲〈7〉
文藝春秋
price : ¥620
release : 1999/02

将としての資質、戦争を行う国家としてのあり方は、、、

奉天の会戦がメイン。

およそ日本がロシアに勝てる状況ではありませんでした。実際に読んでいても『本当に勝ったの?』という思いは消えません。筆者もそう考えているからです。

この会戦における最大の要因は『敵将の無能、敵国の官僚化』だとすることができます。戦争において自己の保身、利益のみを追求する腐敗官僚主義が主導権を持つことはそのまま滅亡に繋がることがよくわかります。

腐敗官僚が指揮する戦争においては、ロシアほどの大国をして、武力、経済力の面で弱小といわざるを得ない日本のような小国にさえ負けさせてしまいます。驚くべき事実ですが本当のことでしょう。

日本男児としては痛快な快進撃を期待してしまうところですが、事実は全く違います。驚くべきとしか言いようのない臆病、保身、官僚主義が“無能”という致命的欠点となって日本を勝利に導きます。

人生においても学ぶべき教訓が明確に描かれています。

捨雛ノ川―居眠り磐音江戸双紙
捨雛ノ川―居眠り磐音江戸双紙
双葉社
price : ¥680
release : 2006/06

香乱記〈3〉
香乱記〈3〉
新潮社
price : ¥500
release : 2006/04

功名が辻〈4〉
功名が辻〈4〉
文藝春秋
price : ¥570
release : 2005/03

最後の意外な展開

律儀のみが取り柄の夫・一豊、それに才智溢れる妻・千代、才能の無い夫を千代の内助により、一国の主になるという二人の夢が、叶い土佐一国を拝領することになった。入国に際し、土佐の先住の郷士達の抵抗にあい、困り果てる一豊だが、最終的には強攻に出、主たる郷士達を虐殺することにより土佐を鎮撫する策をとってしまう。創業のころとは異なり、大きな組織となった山内家では、もう千代は蚊帳の外の存在であり、相談も無かったことは、彼女を悲しませ、また、彼女が夫と作ってきたものが、そんなもの(領民を平和に治めるのではなく、力による支配であったこと)になったことに、彼女は、自分の半生が何であったのかと悩み、また夫の無能さを嘆きたく、またなじりたい気持ちになる。一豊の狭量故に、民衆を治められなかったことが、最後に敢えて描かれているのは、司馬遼太郎は何が言いたかったのか考えてしまう。幕末まで続く、土佐の上士・下士の軋轢の原因といえば、この始祖一豊の方針というか、取った手段のためであろうが、一豊や山内家の老人達が本当に無益無能だったとは云いたくはない。それほどに進駐してきた者が先住者を治めるのは難しいものだと思うし、実際、力によらねば上手く治められなかったのではないだろうか。結果論から云えば、上士下士の対立から、幕末、郷士の脱藩者が出、自由な発想で行動できたことが、明治維新の立役者を多く輩出する結果になったような気がする。私は、一豊のことを、作品中で千代が言うほどには馬鹿にはできないと思っている。なぜなら、実際、戦いに臨んだは彼であり、生死をかけたのは彼だから、軽んぜられるのは酷なような気がする。利口な忠告者より、現場に立つ実践者の方が辛いのである。世の奥様方にも、そのことは解かって欲しい。『旦那さんを大切にしてあげて欲しい』と、なんだか最後は私の願望になってしまったようで、失礼しました。
竜馬がゆく〈1〉
竜馬がゆく〈1〉
文藝春秋
price : ¥620
release : 1998/09

もっと若いときに読みたかった。

 司馬先生の本の中では、一番好きです。
 なんといっても、竜馬がすぐそこにいるかのように生き生きと描かれています。読んでいて楽しい!もう何度読み返したか、わかりません。
 仕事に疲れたとき、行き詰まりそうになったとき、ときどき引っ張りだしては竜馬に会い、元気と勇気を貰っています。
 大志を貫徹させるために、同士を募り、人脈をつくり、自分らしく(ここが一番難しいのですが)計画を立て、あせらず確実に維新(倒幕で終わずその先を見ていた竜馬って本当に凄いです)を成し遂げた生き様は何度読んでも気持ちが高ぶります。「決して言い負かさない、言い負かせば恨みが残るだけだ」「人と人とを利でつなぐ」など、実社会でもずいぶん役立っています。
 これからの時代、新聞やテレビに踊らされない自分の視点をもつ教育が必要だと思います。学校でそういったことを十分に教えられない現在、この本の竜馬の視点、行動は大いに学ぶところがあると思います。
 惜しむらくは、高校生の時にこの本に出会いたかった。もっと人生が変わっていましたね。という気持ちを込めて、甥っ子に先月送りつけました(笑)。読んでほしいなぁ。
竜馬がゆく〈3〉
竜馬がゆく〈3〉
文藝春秋
price : ¥620
release : 1998/09

司馬遼太郎を初めて読む若い世代の人達に

小学校卒業後に海外へ移住してしまった私には日本の硬い歴史小説を読むのは少し辛い気がいつもしていました。でもいつか司馬遼太郎の作品は読みたいと思っていた。そんな私が最初に選んだのは「竜馬がゆく」でした。なぜって竜馬のことはあまりにも有名すぎたし、幼い頃はアニメ「お〜い!竜馬」なども見ていたので、わりと良く知っている人物が主人公の小説から始めてみうようと思ったわけです。

結果は大成功、面白くて面白くてだーーっと一息に読んでしまいました。 このレビューは初めて司馬遼太郎の本を読もうとする若い世代にむけて書いてるつもりですが、「竜馬がゆく」は竜馬が主人公ながら所々竜馬から話しがずれて他の武士の話がつけ足たされたりしています。 もしも最初にそういった箇所を読むのが辛かったらそういったページは抜いて読んでもいいと思います。後々に読み返した時にそういった箇所もだんだん読むようになりより深く楽しめるようになると思います。 本を読む忍耐も時間もない、歴史もあまりくわしくない、そんな私がどうやって最後まで読めたかっていうとそうやって読みました。

その後は一息をついて短編集にしぼりました。それも幕末の話や維新後の話にしぼりました。「あ〜、そういえばこの登場人物は竜馬がゆくにでていたなー」とか「竜馬の死後にこうなったのかー」などと思い、自分で段々と作品と作品の間にある繋がりを意識するようになり、そうやって司馬遼太郎の世界が広がっていきました。

直接「竜馬がゆく」に関するレビューではなく、どうやって司馬遼太郎の本を読み始めるかみたいなレビューになってしまってすみません。これから司馬遼太郎の本を読みたいけど難しそうと躊躇している方々に役立ちますように。

功名が辻〈3〉
功名が辻〈3〉
文藝春秋
price : ¥570
release : 2005/03

千代の世渡り術

 秀吉の生前は秀吉に、秀吉の死後は家康にと周りの各大名は振り回されていますが、山内家は上手く世渡りをしています。それも、千代の才覚があってのことですが、千代の賢さが世渡りだけにしか活かされていないのが残念です。戦国時代に6万石の一大名が生き延びていくのは大変だというのは解りましたが、まことに残念です。

 世間が派閥争いで騒いではいたものの、千代と一豊の生活は上杉討伐を除けば平穏な生活が多く、一巻に比べ三巻は少々物足りませんでしたが、戦国時代の一大名の生活が詳細に表現されていましたので、勉強にはなりました。

竜馬がゆく〈2〉
竜馬がゆく〈2〉
文藝春秋
price : ¥620
release : 1998/09

竜馬がゆく 第二巻

 司馬遼太郎の名作『竜馬がゆく』の第二巻。この巻では、剣術修行を終え北辰一刀流小千葉の塾頭にまで成り上がった竜馬の土佐帰郷から、土佐藩脱藩に至るまでの竜馬の動向が描かれている。この巻では、比較的ゆっくりとした時の流れの中で、竜馬の気持ちの変化や世論の変化、維新志士達の変遷が繊細に描かれており、全巻で劣等感を否めなかった竜馬が藩を捨てて、いよいよ日本全国へと旅立つまでを辿っている。その間、起こった史実は数知れず、安政の大獄から桜田門外の変など、誰もが知る日本を揺るがす大事件の中で、一人揺れる竜馬の心境は多くの読者の心を動かすに違いない。

 その歴史の中で竜馬が出逢う人物は、必ずしも維新後の明治で卓越した功績を残した者ばかりではない。寧ろ、土佐藩の厳格な身分社会にあっては、多くが尊王倒幕運動の中でその命を散らせたり、或いは佐幕派として惜しむべきその才能を失ってしまった人物も多い。そうした動乱の世の中で、結局は彼等と同じく尊い命を犠牲にしてしまう竜馬が残した数々の偉業の基盤がこの一冊に凝縮されているように思う。時は動いて、この後様々な奇跡を起こす竜馬の、真の第一歩は世を見つめ悩んだ末の脱藩がそれに等しいわけで、その脱藩に至るまでの竜馬の由無し事さえも、今後の日本を揺るがす重大な要素の1つとして描かれている。

香乱記〈2〉
香乱記〈2〉
新潮社
price : ¥540
release : 2006/03

竜馬がゆく〈4〉
竜馬がゆく〈4〉
文藝春秋
price : ¥620
release : 1998/09

竜馬がゆく 第四巻

 司馬遼太郎の名作『竜馬がゆく』の第四巻。展開は歴史の大舞台へ。京都に於ける長州の勢力は衰え、土佐勤王党は山内容堂の台頭によって没落。目まぐるしく変わる情勢は悉く尊攘派に不利な展開、その最中独りわが道を突き進む竜馬はとうとう軍艦観光丸を手に入れた。観光丸を率いて、江戸に神戸に大阪に。果ては勝海舟に連れられて長崎へも赴く。一方、没落した長州の攘夷砲撃は日に日に激化し、外国の長州砲撃の緊迫がいよいよ高まる中、幕府は長州征伐に踏み切り始める。

 流れゆく時代と、それと独立に進む竜馬の脚。その流れを対比しつつ、読者を惹き入れる司馬遼太郎の世界観は健在だ。竜馬に焦点が当てられない章が目立つのは否めない事実だが、それはこの巻が描く高々1年という期間に巻き起こる時代の変化の多さを物語る証拠だろう。又、注意深い読者には以前に為された解説が繰り返される箇所が多いのも気になる所だが、物語全体の中では大切な視点を重ね重ね与えてくれていると思う事にしよう。時代は薩長の対立へ向けて大きく揺れる。幕府はその波に乗って勢いを付け始め、その影で京都には新撰組が登場。朝廷か、幕府か、その政調を大きく変換させる英雄がとうとう海に身を乗り出した。竜馬と勝海舟が織り成す歴史の大舞台はとうとう山場を迎えようとしている。

竜馬がゆく〈5〉
竜馬がゆく〈5〉
文藝春秋
price : ¥620
release : 1998/10

竜馬がゆく 第五巻

 司馬遼太郎の名作『竜馬がゆく』の第五巻。池田屋事件に禁門の変、時代を揺るがす大政変が続く元治の世を荒々しく描く。京都における長州藩の権威は一挙に崩落し、忽ち朝敵としての汚名を着せられる、その一方で次第に体制を強めていく幕府の影に潜む薩摩藩の存在、巡るめく時代の中でかの竜馬自身は西郷と歴史的な出会いを成し遂げる。神戸海軍塾は解散し、幕臣勝海舟の大きな手立てを失った竜馬は次なる同士として、西郷との間である新計画を企てる。海軍塾の流れを汲んだ、日本発の商社の設立。長州征伐がいよいよ本格化する勤王党と佐幕派の戦いの最中、今も尚我が道を進む志士竜馬の道のりを描く。

 前作に続いて、余談や小話に重複も目立って、冗長な表現は多くなってしまう上に、幕末史を描く上で思想的にも外交的にも大きな事件であったはずの、薩英戦争や長州砲撃事件などが全くと言って良い程触れられていないので、こうした小話も歴史的な意義がつかみにくい位置づけになってしまっている事は紛れも無い事実だろう。しかし、原点を辿ればあくまで竜馬の物語なのだ。竜馬を取り巻く幕末の風雲を語るには、本編に描かれている政調で十分足るだろうし、況してこれだけ細かな点を指摘した小説を読む上での前提として、幕末の基礎的な流れは読者も知っていて然りだと思う。本巻では、竜馬の動向はやや停滞気味だが、海援隊設立に至る重大な一歩として、そして竜馬のその後を語る上で欠かせない維新三傑西郷との出逢いを描いた局面として、気長に読んで貰いたい。続く歴史は奇跡の如く蠢いていく。

竜馬がゆく〈6〉
竜馬がゆく〈6〉
文藝春秋
price : ¥620
release : 1998/10

竜馬がゆく 第六巻

 司馬遼太郎の名作『竜馬がゆく』の第六巻。遂に成った薩長の秘密同盟、その間を取り持った坂本竜馬一人の手によって維新の歴史が動かされていく。時期を同じく薩長連合を目論んだ土佐の英雄中岡慎太郎と共に、薩摩は西郷隆盛や大久保一蔵、長州は桂小五郎の繊細な心境を汲みながら、薩長をつないで行く竜馬の姿はまさに見事である。一度は同盟成立へ向けて薩摩を発った西郷も、時勢と世論に圧されて京都へ。怒った桂率いる長州を宥めつつ、再び舞台は京都。既に広まった志士坂本竜馬の上洛情報を知って、坂本竜馬の包囲網は大阪・兵庫にまで広がるが、そんな事に臆せず、大阪城代大久保一翁や新撰組藤堂の計らいの下、無事京都へ到着する。坂本竜馬の到着で、漸く西郷と桂が手を握った。

 前巻辺りまでには余談や後日談などやや冗長な表現が続く事もあり、この巻も決してそれらが少ない訳ではないが、多くは薩長同盟の性格を知る上で必要不可欠なものであったり、時に歴史の核心を突いた見解であったりして、話が途切れる様な歯切れの悪さは無い。又、この薩長同盟の記述は、現存する文書を現代語に書き換えた文章を利用している箇所が多く、竜馬の手による文も所々に見受けられて面白い。その点、やや薩長連合に関する文章が短めに終わってしまい、大きな山場にも関わらず今一つ胸躍らせる様な場面が少ないのだが、それは司馬遼太郎の粋な計らいと取る事にしよう。それが時代小説の性格でもあろうはずである。

功名が辻〈2〉
功名が辻〈2〉
文藝春秋
price : ¥570
release : 2005/02

『新史太閤記』を読んでしまっていると辛い

内容としては一巻に引き続き面白いが、『新史太閤記』と重複する内容が多く見られ、やや飽きてしまう。

また、秀吉や家康に割かれている部分が多く、伊右衛門の人となりが非常に薄くなるのが残念。
千代が何とかつないでいるという感じもしないではない。
(明らかに筆者が伊右衛門よりも秀吉や家康などを描きたくなってきてしまっている傾向が感じられる。)

あまり伊右衛門のことには触れられていないが、城主として長浜に就き、少しずつではあるがここでも立身出世を進めている。

次の三巻に期待したくなる一冊である。

功名が辻〈1〉
功名が辻〈1〉
文藝春秋
price : ¥570
release : 2005/02

ささやかで、でも、爽やかな二人

 名人 司馬遼太郎の見事な筆さばき。一見凡庸としていてじつは人間的な面白みに溢れている・・こんな人物を描かせたら司馬遼太郎は本当に、殆ど芸術的に、上手い。
 主人公の一人、山内一豊は、同時代の傑物、信長や秀吉と比べると足元にも及ばぬほど、小さい。それがもう一人の主人公、妻千代の助けにより、戦国の巨人達の間で生き抜いてゆく。
 信長や秀吉とは違い、自分の身の丈をわきまえながら歩いていく。そんな姿が、実に爽やかで、誠実な物語を生んでいる。
竜馬がゆく〈8〉
竜馬がゆく〈8〉
文藝春秋
price : ¥620
release : 1998/10

希望を与える本

この本は、何か躓きがあった時、困難な事にぶち当たった時に読み返す本です。自分自身の運命をも己の力で切り開き、また、周りの人も彼を絶えず暖かい目で見守っています。この本を読むとき、その清冽さが己の卑小さをものの見事に砕いてくれます。いつも勇気を与えてくれる書として手元に置いています。
蒼穹の昴(1)
蒼穹の昴(1)
講談社
price : ¥620
release : 2004/10/15

活字がでかい

ルビをふるためか、活字がでかく、ほいほい読み進めれた。分厚い2冊でもよかったような気がする。
読了して、損はない本であり、結果としては感動もの、時代考証もしっかりとできていると思う。

が、しかし、登場人物のその後が気に懸かる。登場人物各個人のその後はどうなるのだろうか?

といいながら☆5つです。

香乱記〈1〉
香乱記〈1〉
新潮社
price : ¥500
release : 2006/03

竜馬がゆく〈7〉
竜馬がゆく〈7〉
文藝春秋
price : ¥620
release : 1998/10

竜馬がゆく 第七巻

 司馬遼太郎の名作『竜馬がゆく』の第七巻。竜馬の海援隊は、土佐藩の後押しを得て軌道に乗り始める。その最中に起こった、いろは丸の事件。坂本竜馬と岩崎弥太郎、土佐藩が巻き込まれた悲劇に、歴史の足踏みはやや穏やか。竜馬が海援隊の事業の影で、刻々と進める倒幕計画はまだ半ば。その傍らで愈々煮詰まる薩長両藩を横目に、竜馬は一つの賭けに出る。それは、勝海舟と大久保一翁がかつて竜馬に語った、笑える夢物語だった。大政奉還。唯一つの奇跡に竜馬の胸が躍る。或いは、苦労の末に築いた薩長との関係に亀裂さえも生じさせるこの妙案の成功に、又一つ大き過ぎる力を注ぐ竜馬の晩年の奔走がここから始まる。

 坂本竜馬の人物像はしばしば薩長同盟や大政奉還の一点に集約される。その観点から言えば、竜馬の幕末の印象とは距離がある観も否めないが、それはあくまで表面的な印象に過ぎまい。竜馬の興味そのものは寧ろ海援隊の事業にあり、彼の人生を追うこの小説の主題から言えば、非常に彼自身の人間性を集約した一冊になってると感じられた。又、本小説後半で政治的な動きが続く事から、しばしば重複事項や回りくどい余談が見受けられたが、海援隊の事情に話の大筋が偏っているがゆえに、長い文章にやや飽きてきた読者にも新鮮味があった一冊となることだろう。

壬生義士伝 上   文春文庫 あ 39-2
壬生義士伝 上 文春文庫 あ 39-2
文藝春秋
price : ¥660
release : 2002/09

新しい新選組観

新撰組といえば司馬遼太郎の『燃えよ剣』が有名ですが、これはある意味それと対極に立つ新撰組観です。ひたすら「武士」というものにこだわって生きていく土方歳三の『燃えよ剣』。それに対して、「守銭奴」とさげすまれながらも、飢え死にしそうな家族のためにひたすら人を斬り続けた吉村貫一郎の『壬生義士伝』。「士道」からみた新撰組観が多い著作にあって、「家族」という「義」に生き抜く主人公から新撰組を描いてあるのは、かなり新鮮です。「新撰組で一番強かった男」吉村貫一郎。彼の腕は、あの沖田総司や永倉新八と互角だったという。また彼を取り巻く人物の描写も面白い。家族のために生き抜くという吉村の生き方と対極の生き方をし、吉村を嫌っている新撰組一番の使い手、斉藤一(映画 壬生義士伝では佐藤浩一が演じているのですが、これがまたかっこいい)。とにかくこの人は全てがミステリアスですね。数少ない新撰組の生き残りです。あの西南戦争では、「今こそ鳥羽伏見・戊辰戦争の弔いだ。」と警視庁の一員として出征し抜群の戦功をあげたという。読み出すと時間を忘れます。
蒼穹の昴(2)
蒼穹の昴(2)
講談社
price : ¥620
release : 2004/10/15

西太后と紫禁城

西太后とはどんな人だったのだろうか。そして中国皇帝の権力とは以下ほどのものであったか。西太后については、とかく化け物のような喧伝がなされておりすこぶるイメージは悪い。しかしどうも中国王朝文化の習慣が理解出来ない当時の列強諸国がプロパガンダとして用いたイメージのようである。中華思想とは宇宙の真ん中という意味でその最大権力者が中国皇帝である。西太后は、権力を私物化するために政敵の命を奪っていった非道の人なのか、それとも清朝末期、蹂躙される中国を支えるつわものであったのか。西太后の「人」に迫ってゆく第2巻であった。春児がついに西太后にお目通りする名場面もあり、一気に読み進められた。中国への思いが高まること請け合い。中国に関心のある方にはお勧め。
五郎治殿御始末
五郎治殿御始末
中央公論新社
price : ¥620
release : 2006/01

世に棲む日日〈4〉
世に棲む日日〈4〉
文藝春秋
price : ¥580
release : 2003/04

「長州を世界列強の仲間に入れる」

 長州藩内の革命(勤皇派の勝利)を導いて後、今度は、幕府対長州の戦いに突入していきます。
 元々攘夷の意思はもっていない高杉は、
長州藩のなかで攘夷思想が沈静化するまでヨーロッパに逃亡しようと企てますが、
失敗し国内を潜伏して歩きます。
 そして、こっそりと馬関にもどっていたところを、長州藩に請われて対幕戦の要職に。
 活躍を見せますが、途中で不治の病を患い、たった28歳でこの世を去っていきます。

諸隊を使った、藩内の革命。
英国との会盟のために長州代表として臨み外交の布石をうつ 
海軍総督として対幕戦の海上での奇襲

といったことを
次々と駆け足のようにやり遂げていく晋作の様が、
著者の簡潔な文章で描かれていて
小気味良く読ませます。

ゆめつげ
ゆめつげ
角川書店
price : ¥1,470
release : 2004/10

おもしろい時代小説

「夢つげ」といわれて、「夢占い」のことかと思ったがそうではない。占いを行う人=神官が夢を見て、占いをするもののようだ。時代設定は幕末、そして夢つげ。この設定で小説を書くのはかなり難しそうであるが、この小説は見事におもしろいストーリーを作り上げている。

主要キャラクターも魅力的だ。いかにも頼りなげな兄と、しっかりものの弟。兄をしょっちゅう叩いたりして見下しているのかと思ったら、兄を尊敬し、気遣い、兄を思うあまり涙を流す。その表現に、韓国ドラマのような「くささ」は見られない。

大金持ちの跡取り息子の捜索という内容でここまで面白くする手腕は見事なのだが、若干最後が蛇足になっているような気がする。幕末の世の流れを、ただの神官がひっくり返すという、おもしろそうなストーリーが始まるのかと思いきや、ほんの数十ページ後には登場人物達は諦めてしまっている。なんとも尻切れトンボだ。この部分を付け足すくらいならば、息子が見つかったところで打ち切った方が爽やかだ。

関ヶ原〈上〉
関ヶ原〈上〉
新潮社
price : ¥740
release : 1974/06

義と利

世に広く知られている関ヶ原での大会戦は下巻の最後の半分くらいで、それまではずっと秀吉死後の家康、三成の政治・外交、諸大名の心理と行動、世論、局地戦などが東軍、西軍の両方の立場から細かく描かれています。大会戦はその長い政治・外交の最終的な結果であり、勝敗は戦闘ではなく、戦闘の前の政治と外交で決まっていたことがよく分かります。

もちろん、クライマックスの関ヶ原の合戦も圧巻で、特に大谷義継隊と石田三成隊の死を覚悟しての戦いは心を打つものがありました。

なお、本書で最も印象に残ったのは、エピローグとも言える三成の逃亡から刑死までの、そして黒田如水の北九州平定戦から家康への恭順における行動や心理の描写です。特に、如水の「義・不義は事をおこす名目になっても、世を動かす原理にはならない」という言葉は天下分け目の関ヶ原を、そして人間社会の真理を物語っていると感じました。

日本歴史の中で最大の合戦を通してさまざまなことを訴えかけ、そして考えさせられる一冊です。司馬作品の中でも指折りの名作だと思います。

壬生義士伝 下   文春文庫 あ 39-3
壬生義士伝 下 文春文庫 あ 39-3
文藝春秋
price : ¥660
release : 2002/09

親の愛、子の愛に感動

著者の作品は「蒼穹の昴」を読んで以来、暇を見つけては読み漁って来ましたが、久々に浅田節に泣かされました。それにしても浅田氏の作風の多彩さにはいつも驚かされます。血なまぐさい殺戮集団である新撰組にあって、貫一郎の家族への愛、強さ、やさしさは表面的には隊士の笑いものですが、奥深く一人ひとりの心に刻まれていきます。貫一郎とともに心にせつなく残るのは貫一郎の息子、嘉一郎のひたむきな、それはひたむきな父への想いです。泣けます。
蒼穹の昴(4)
蒼穹の昴(4)
講談社
price : ¥620
release : 2004/10/15

清末期から新しい時代へを、スケール雄大に描いた一挙に読ませる面白さを持った本です

科挙や宦官に代表される旧弊が残り、役人は賄賂にあけくれ、人民は貧困にあえぎ、列強から食い物にされかかっている大清帝国。その清朝末期から次の時代へを、幼なじみでありながら科挙と宦官に分かれ、そのトップにまで登りつめる文秀、春児という主人公を中心に、西太后とそれを取り巻く体制派、康有為らの改革派、そして列強のジャーナリスト等々の多種多彩にして魅惑的な登場人物をからませ、雄大なスケールで描いた小説です。もちろん、いつもの浅田作品に見られる感動場面に加え、歴史作品として、毒婦としての印象の強かった西太后像、日清戦争において李鴻章はなぜかくも簡単に敗れたのかといった面に新たな解釈も加えられています。また清末期から新しい時代を象徴する人物へのバトンタッチの描かれ方もさすが浅田次郎とうならされる筆致です。
唯一残念であったのは、第1巻で非常に魅力的な人物として描かれていた文秀と春児の個性が第2巻以降、やや薄れたことでしょうか。それも大清の巨大さがなせる業でしょうか。
ただ、そういった面を差引いても、4巻一挙に読み通してしまうだけの面白さを持った本です。
蒼穹の昴(3)
蒼穹の昴(3)
講談社
price : ¥620
release : 2004/10/15

列強と中国分割

全4巻で描かれる清朝末期の中国。後半に入り、日清戦争の勝利で西洋列強の仲間入り(又は競争相手)を果たした日本も加わっての中国が切り刻まれてゆく様子が描き出される。租界地を拡大し、中国の中に自国の領土を拡大してゆく姿は、他国蹂躙以外の何物でもない。そういう中で中国を守り抜こうとする人達の活躍が胸打つ。中でもイギリスと香港租借を巡って李将軍が登場するシーンは名場面。香港が何年か前に中国に返還されたが、その交渉が描き出される。99年(99とは永遠の意味と説明し)という今から見れば遥か彼方だが99年後の人から見ればそれ程昔ではない期間を貸し出すという5000年の歴史を持つ人達の知恵を振り絞った防衛が行われた。主人公達も階位が上がり、歴史的人物の間に入って活躍をし始める。著者の作品に共通するリズミカルな文章であっという間に読み進められるのが良い。
世に棲む日日〈2〉
世に棲む日日〈2〉
文藝春秋
price : ¥580
release : 2003/03

航海遠略策

 吉田松陰と高杉晋作の邂逅。
 松陰が死罪となる。
 高杉晋作が「倒幕」を志す。
といったことが描かれています。

 中で語られている長井雅楽の航海遠略策を読み、
「この時代でもここまで見通せる人物がいたのだ」
と驚きました。
 この策の正当性が時代に受け入れられなかったのがとても悔しいです。

世に棲む日日〈3〉
世に棲む日日〈3〉
文藝春秋
price : ¥580
release : 2003/04

藩ぐるみ身をひるがえして開国へ転ぜねばならぬ

御殿山の英国公使館を焼き討ちなど、江戸幕府のつきあげを次々としたあと、出家して、故郷に戻った高杉晋作。
彼が閉じこもっている間に長州藩が大変動していきます。
長州藩は幕府からの「5月10日から攘夷をする」という回答をそのまま実行にうつし、馬関海峡で攘夷戦争をはじめ、
蛤御門の変、四カ国連合艦隊襲来そして、敗戦。

江戸幕府とは別に長州藩だけが歴史の大転換を迎えていきます。

特に印象深い場面は長州藩と四カ国連合との交渉の場面でした

舞台は壇ノ浦
長州藩は単独で四カ国との談判をするために高杉晋作を交渉が交渉にあたります。
その通訳をするのは伊藤俊輔
たちあいに英国公使館通訳官アーネスト・サトー

そうそうたる登場人物たちが、日本の将来を変える交渉を始め読み応えがあります。

江戸の精霊流し―御宿かわせみ〈31〉
江戸の精霊流し―御宿かわせみ〈31〉
文藝春秋
price : ¥500
release : 2006/04

翔ぶが如く〈6〉
翔ぶが如く〈6〉
文藝春秋
price : ¥570
release : 2002/04

士族の乱、相次ぐ

明治9年秋、熊本神風連の乱、秋月の乱、萩の乱が立て続けに起こる。時代はいよいよ、きな臭い。

神風連の鎮圧には、後の日露戦争の立役者、児玉源太郎が活躍した。このとき若干24歳。みごとな統制で夜襲の混乱を建て直し、一気に乱を押さえ込んだ。大物の片鱗が見える。

全一冊 小説 上杉鷹山
全一冊 小説 上杉鷹山
集英社
price : ¥1,000
release : 1996/12

上に立つ者の使命

 米大統領のJ・Fケネディが、日本人記者団から、「日本で最も尊敬する人は誰か。」という質問に、「それは上杉鷹山である。」と即座に答えたことはあまりに有名であるし、むしろ逆にそのことによって彼の名がメジャーになったとも言えよう。

 本書は童門氏が描いた、上杉鷹山の感動小説である。

 宮崎の田舎町、高鍋藩から養子として上杉家に迎えられ、質素倹約それでけでなく殖産興業にもつとめ、財政の健全化を達成したその手腕は、現代社会に生きる我々にも十分参考になりうるものだろう。

 ただ本書はそれだけではない、よそ者の指導者が始めた改革の反発をどのように静めていったか。藩士や領民達に深く愛情をそそぐ藩主の姿は、時に眼に涙をためさせる。

 堂門氏の力作、是非読んでください。

項羽と劉邦〈下〉
項羽と劉邦〈下〉
新潮社
price : ¥620
release : 1984/09

美しく誇り高き敗者

 項羽と劉邦の壮絶な戦いにもついに終止符が打たれるときがきた。
 
 四面楚歌の状況下、矢尽き、刀折れた項羽はついに自害する。誇り高い生き方を貫いた英雄の壮絶な最期であったるその筆致は美しく、数千年の時をこえて我々の胸を打つ。

 項羽の死をもって美しいこの物語は幕を閉じる。その後の史実は語られないが、この物語を読んだあとに歴史的事実を知ったときの感想はさまざまであろう。自分は美しい物語とその後の事実との乖離にえもいわれぬギャップにいささか戸惑った。

翔ぶが如く〈7〉
翔ぶが如く〈7〉
文藝春秋
price : ¥570
release : 2002/05

西郷、暗殺計画

各地の反乱が薩摩に飛び火するのを恐れた大久保は、あろうことか、西郷の暗殺を企てる。大久保には、岩倉具視と謀って開国反対の孝明天皇を毒殺したといううわさもある。日本の近代化のためなら、無二の親友でさえ除く。それだけの覚悟があるのが、大久保という人間なのであろう。決して西郷に対して憎しみはなかっただろう。大久保の苦悩は、本作では触れられていないが、きっと余人には計り知れぬほど大きかったに違いない。西郷の死ののち、暗殺予告が届いても、一向に警戒をしなかったところに、この大久保という人間の覚悟と悲しみが伺える。
項羽と劉邦〈中〉
項羽と劉邦〈中〉
新潮社
price : ¥620
release : 1984/09

役者は揃った

 この物語の面白さは項羽と劉邦以外の個性豊なキャラクターたちである。その一人一人だけでも主人公としてやって行けそうである。
 いよいよ本官では項羽と劉邦の本格的な対決が始まる。圧倒的に項羽の圧勝である。
 しかし多くのキャラクターたちは劉邦を愛し、劉邦のために尽くす。結論から言うと劉邦は多くの部下に恵まれ勝利を得るのだが、そこから人材論、組織論を語る上で得られる教訓は多い。
新選組血風録
新選組血風録
角川書店
price : ¥860
release : 2003/11

【商品詳細】

『竜馬がゆく』『燃えよ剣』の2作の長編小説が立て続けに発表された1962年(昭和37年)は、司馬遼太郎の目が「幕末」という動乱に向いていた年である。同年5月に連載が始まった本書は、その先駆けとなった作品だ。斎藤一、加納惣三郎、井上源三郎、沖田総司などの新選組隊士たちの生き様15編を、抑制の効いた筆致で描ききった連作短編集である。そこには、司馬が追い求めた「漢(おとこ)」の姿が息づいている。 生きては戻れぬ死闘を前にしながら、ひょうひょうと振舞う篠原泰之進。好きな女のために新選組にもぐりこみ、惨殺される深町新作。池田屋事変で一番の活躍をしながらも、その運命にもてあそばれているような寂しさを漂わせる山崎蒸。武芸で身を立てることに戸惑いながらも、敵方にひとりで切り込んでいく長坂小十郎。時代に逆らって生きる個性豊かな隊士たちは、いずれも無骨で、真っ直ぐで、さわやかだ。 なかでも、「沖田総司の恋」「菊一文字」で、沖田への不器用な心配りを見せる近藤勇と土方歳三の姿が印象深い。「総司のことになると目が曇る」近藤と土方の姿を、おかしみさえ滲ませながら人間臭く描くことで、司馬は、激しい風雲に飲み込まれざるをえなかった者たちの悲劇をいっそう際立たせている。新選組という「類のない異様な」集団を多角的な視座を用いてとらえた本書は、1個人の人生から、歴史の壮大なうねりを照らす司馬の持ち味が、いかんなく発揮された傑作である。(中島正敏)

各章ごとに

クローズアップされる人物は違うが、その都度、近藤・土方・沖田がチラチラと顔をだし、そのキャラクターにあった表情をみせてくれる。それがこの本の最大の魅力ではないだろうか。どんな事ににキレて、どんな事に笑い、どんな事に喜んだのか物語の中の「日常」を見る事によってそれ知ることができる。15章に分かれてはいるがちゃんとつながっている一冊の物語である。
 特に沖田総司に魅かれる。天才剣士でありながら、さわやかで天真爛漫で正義感があり、色男である。なおかつ不治の病をもっている・・・
現代の漫画やドラマの主人公にありがちな要素がそろっている。その人格、悲劇的要素が微妙に物語の中でキラキラと輝いている。司馬さんの書いた沖田総司を長編で読みたいと思った。
背負い富士
背負い富士
文藝春秋
price : ¥1,850
release : 2006/04