ミステリー・サスペンス・ハードボイルド 

宝島社文庫「沈むさかな」
宝島社文庫「沈むさかな」
宝島社
price : ¥770
release : 2004/06/15

『四日間の奇蹟』よりも好きかも

 二人称、ダイビング、そして湘南の海というあまり慣れない不思議な空間を生み出しているミステリー。といっても前半は主人公のカズがダイビングを覚えていく過程や友人の英介から教わり、成長していくという話だ。むしろ、全体的に似見るとカズのサクセスストーリーでもあるかもしれない。ミステリーがメインということではないはず。

 日々の生活に見切りをつけた高校生、矢野カズは湘南の鵠沼でラーメンやのアルバイトをしていた。ある夜不良グループに絡まれたが、小学生の頃スイミングスクールに通っていた友人、加部英介に再会、そのばを助けてもらう。そして、英介からダイビングをやらないかと持ちかけられることに。
 
 ミステリーの核となるのは、昔スイミングスクールのコーチをしていた父の下で起こった死亡事故と父自身の死の真相を探すための物語。そして、カズの自分探しへの旅でもある。

 ダイビングという慣れない題材を持ち込んでいるせいもあるだろうが、全体的に不思議とゆったりとした空間が漂う。海の中にいるような、時間の緩やかさ。本作でも海の描写が綺麗で、色々な人から海についての思いを語られる。それにカズも引きつけられるが、だからこそラストは大分勇気のいる行動だったはず。

 世界の2/3は海に囲まれていて、特に日本は島国だ。海とは切手も切り離せない。海のように話も後半の展開が広げすぎではないかと思ったが、追うべき存在や父の伏線がまとまった感じで、ミステリーとしても悪くはないだろう。

 それ以上に本作のもつ世界観が好きだ。海に魅せられたカズ。広く、大きい中にある自由を感じ取っていたのではないかとも思った。

 個人的には好きだ。終盤シリアス路線に走ってしまったのが惜しいが、仕方ないと言えば仕方ない。『四日間の奇蹟』よりも、好きかな。

緑陰の雨 灼けた月―薬屋探偵妖綺談
緑陰の雨 灼けた月―薬屋探偵妖綺談
講談社
price : ¥998
release : 2000/09

だんだんわかりにくくなっているのは気のせい?面白いけど

どの辺りが緑陰の雨で灼けた月なんだろう。
わからん。
だんだんタイトルが物語り直結じゃなく怪しくさせて買わせようとしているような気がする。
仮題は「カレーとコーヒー」だというから、それもまた近いようで遠すぎる・・・
薬屋探偵シリーズの5冊目。
学園物(?)ということで前作よりは読みやすい。
野狐の存在は◎でした。
事件の絡まり具合も◎。
1作目から読むのがいいけど、これから読んでも大丈夫。
魔女の死んだ家
魔女の死んだ家
講談社
price : ¥1,995
release : 2003/10/26

妖艶な香り、蜃気楼のような肌触りを感じたミステリ

三部構成になっているミステリ。第1部が、母親にまつわる生と死の記憶を語る子どもの話。第2部が、密室でひとりの女が死んだ事件を語る関係者の証言。そして第3部で、事件の真相が過去の闇から浮かび上がり、関係者の間で解き明かされる。ざっくりまとめてしまうと、大体こんな構成になっています。事件に関わった人たちの話を通して、艶やかな桜の化身のようなひとりの女性の姿と、事件が起こった屋敷の、特に庭に咲く草花の風情が過去から蘇ってくるような味わい、それが印象に残りました。

第1部、第2部と読んでいって、フランスのミステリの匂い、さらに言えば、ボアロー&ナルスジャックの作品を思わせるようなミステリの香り、それに通じる味わいがあるような気がしました。朦朧としておぼろげな過去の記憶の中から、ミステリアスな香りが立ち上ってくるようなところに、一種共通した匂いを感じたのです。

ミステリーランドのシリーズは何冊か読みましたが、本書が一番難易度が高かった。まるで、曖昧模糊とした過去の記憶の中を、目隠し鬼の遊びのように手探りしながら進んでいく感じ。正直、子どもが読むにはかなりしんどい作品なんじゃないかと、そう思ったんだけど、どうなんだろう。

挿絵を描いてらしたのは、波津彬子さん。『雨柳堂夢咄』シリーズとかとても気に入っているので、収められた挿絵の数々、親しんで見ていくことができました。本書の話の内容とか舞台背景などにしっくりくるふさわしさを、波津さんの挿絵に感じました。

凶鳥“フッケバイン”―ヒトラー最終指令
凶鳥“フッケバイン”―ヒトラー最終指令
角川書店
price : ¥620
release : 2003/10

これ映画のネタになりそう・・

佐藤大輔さんの作品はおもしろい!期待を裏切らない!

しかしこの作品は笑ってしまうほど盛りだくさん。

ヒトラー、SS親衛隊、怪しげな科学者、アメリカのスパイ、ユダヤ人科学者、そして

T34/85,シャーマン、パンテル、エレファント!、ヤークト・キングタイガー、マウスが暴れている。

おまけにV2号ロケット!!

しかもこれ全部脇役!!

一番気に入った箇所は、小さな女の子が「深夜の行列」を見るところ。

菊池秀行さんの「エイリアン秘宝街」を思い出させる「怖さ」を演出してます。

そして物語はゾンビと「あれ」の世界へ・・・

村人のゾンビ化は、これでもかというほど情け容赦が無いのですが、かえってそれがリアルでテンポの良いストーリーに仕上がっています。

しかしエンターテイメントもここに極まるという感じでスカッとした。

ハリウッドもネタ不足だそうだからこの作品教えてあげたい気もする。

隠密部隊ファントム・フォース(下)
隠密部隊ファントム・フォース(下)
文藝春秋
price : ¥690
release : 2006/03/10

ママの狙撃銃
ママの狙撃銃
双葉社
price : ¥1,680
release : 2006/03

臨場
臨場
光文社
price : ¥1,785
release : 2004/04/14

かっこよすぎ!

この作品が私を横山作品に惹き付けたきっかけとなった作品です。
主人公監察医「倉石」全て読み終わった後に一言・・・。
「かっこよすぎだろう!」
と思わず言葉がでてしまうほどの人物描写力。
あえて本人を取り上げるのではなく、「倉石」を尊敬している刑事・反感をもっている刑事など、その人の目からみた「倉石」という書き方に非常に心酔してしまいました。
ヒネタ心で読んでしまうと「こんなやついねぇ〜よ!」とまで言えるような話だが、非常にお勧めできる素敵な作品です。
アフリカン・ゲーム・カートリッジズ
アフリカン・ゲーム・カートリッジズ
角川書店
price : ¥998
release : 2002/12

新しい世界感!

実は随分前に読んだのですが、「BR」の時のように放っておいても話題になるだろう、と思っていたのですがなかなか世間でフューチャーされないので、思い切ってレビューを書くことにしました。

かなり気に入りました!
続編が早く読みたいですね。

SF、戦闘が苦手な人はやめたほうがいいでしょう。

ただし、単に小説が好きな人には新しい舞台設定なので新鮮かもしれません。

ナポレオン狂
ナポレオン狂
講談社
price : ¥540
release : 1982/07

日常の中のホラー

 面白かったです!!阿刀田さんの著書は、ノンフィクション(聖書やギリシャ神話の解説エッセイ)しか読んだことがなかったのですが、小説でもまた、彼らしいオシャレさとエスプリが存分に生きています。

 発想や着眼点は、始めは星新一さんに似ていると思ったのですが、何の変哲もない日常生活の中にさりげなく紛れ込んだ恐怖の描き方は阿刀田さんお得意のもの、という印象を受けました。とにかく彼のホラー小説の怖さは、決してグロテスクな化け物や殺人鬼が出てくるからではないんです。一見普通に見える人が、実は心の中で殺人計画を立てて笑っていたり・・・といった描写が、すごく怖い。そういう意味で、全く新しい感覚のホラー小説です。

ヤングガン・カルナバル バウンド・トゥ・バイオレンス
ヤングガン・カルナバル バウンド・トゥ・バイオレンス
徳間書店
price : ¥860
release : 2005/10/21

危険な作家

「まだ誰も彼がどれだけ危険な作家かに気づいていない。誰かコイツを逮捕してくれ!!」by山下卓氏
気づきますとも!YGCの1巻で 来たァ!と思い、この2巻では 新キャラが それぞれ因縁があったり、悪いヤツラが 悪くなった背景まで 細かく巧く書けているのに感心します。ダニエラは 愛しいし 虚先生はカッコいい。
あぁ 3巻が 待ち遠しい!!
途上―松本清張初文庫化作品集〈3〉
途上―松本清張初文庫化作品集〈3〉
双葉社
price : ¥580
release : 2006/02

殺人現場は雲の上
殺人現場は雲の上
光文社
price : ¥460
release : 1992/08

一緒に謎解きをしよう!

7つの事件。エー子とビー子の二人がどたばたしながら、事件を解決に導いていく。この二人の会話が絶妙で面白い。扱う事件も、後味の悪いものではない。肩ひじ張らずに、気楽な気持ちで楽しめる作品。読みながら一緒に謎解きをしてみてはいかが?
ウインクで乾杯
ウインクで乾杯
祥伝社
price : ¥540
release : 1992/05

いまいちだった・・・。

コミカルなタッチで描かれたミステリー。香子は刑事の芝田と絵理の
死の謎を調べる。二人のやり取りが、読んでいて面白い。香子の、
玉の輿に乗るための涙ぐましい努力もとても愉快だ。
真相が明らかになるにつれて、さまざまな人間関係も浮かび上がって
くる。だがこの事件の大元となった出来事にはちょっと疑問を感じる。
ビートルズの歌の謎解きも「えっ!そうなの?」という程度だった。
さらさらと読める読みやすい作品だったが、心に残るというほどでは
なかった。
CSI:科学捜査班―コールド・バーン
CSI:科学捜査班―コールド・バーン
角川書店
price : ¥740
release : 2006/02

勇気凛凛ルリの色 四十肩と恋愛
勇気凛凛ルリの色 四十肩と恋愛
講談社
price : ¥560
release : 2000/03

涙と笑いのエッセイ。

本人は、毒舌、下品と称しているが決してそうは思えない、心温まるエピソードが随所に散りばめられたエッセイ。第1巻に続いて元自衛隊の面目躍如というべき沖縄問題について書かれた文章が印象的です。読み進めるに従い、著者の人となりにも慣れ親しみ旧知の間柄のような気持ちになります。1巻目のエッセイの続編、続々編のようなエッセイも登場します。2巻目も本当に面白いです。週刊現代に連載シリーズです。その手の週刊誌を読まれるような層の方に特にお勧めです。
屋上物語
屋上物語
祥伝社
price : ¥620
release : 2003/06

人間くささが魅力

〜 長編とはいいながら、連作短編集のような作りです。一つの話が終わったと思うと、その中の一人または一つの出来事が次のお話につながっていく。

 それぞれの話のラストは、決してハッピーエンドばかりではありません。ちょっと救いがない、というか悲しい結末のものもあります。が、そこがまた人間臭いというか、現実っていうのはこんな悲しい出来事の〜〜積み重ねだったりするのかもしれないと思わせる、そこがまた味のある小説になっています。

 『花の下にて春死なむ』や『メインディッシュ』のようなちょっと心温まるミステリーが好きですが、こんな人間臭い作品もなかなかです。

 やくざすら懐柔してしまうさくら婆ァの魅力。自身がつらく悲しい体験をしているからこそ、人には優しく、ときに厳しく〜〜なれるのかもしれません。
 
 結末が悲しい話が多いにも関わらず、読んだ後はなぜか清々しく、また明日に立ち向かっていけるような気持ちにさせてくれるのは、作者のチカラでしょうね。〜

D--妖殺行
D--妖殺行
朝日ソノラマ
price : ¥494
release : 1985/07

どこまでも美しいもの

私の愛する吸血鬼ハンター、D。このシリーズはほぼ持ってます。一番お気に入りなのは別巻の「D―昏い夜想曲」。玲瓏とした空気が漂っていて美しい。
そして、話として好きなのがこの「妖殺行」。決して人に牙をむけなかった吸血鬼マイエルリンクと、美しい人間の娘シャーロット。二人の実を結ばぬかもしれぬ哀しい愛の逃避行。そして、父親からの依頼でそれを追うD、凶悪な同業者のマーカス兄妹。
ここまででピンときた方もいるやもしれぬ。つい先日映画になったあの「バンパイアハンターD」の原作となっているのがこの作品です。
力強き支配者と、か弱き人間...種を超えた愛ってのはきっと永遠のテーマなんだろうな。うん、マイエルリンク好きなのです。とても素敵。吸血鬼=貴族でありながら、人間を虐げず、人から尊敬され、人を愛した吸血鬼。シャーロットが愛するのも無理はない、と思う。
そしてそれを追うDがまた素敵。たまに感傷に流されてみたりするDが、美しい。二人に表情を変えぬまま切なげなまなざしを送る彼の優しさが、すごく切なかった。
そしてマーカス兄妹の長女(紅一点なり)レイラ。Dにひかれてゆく彼女の気持ちに同調。だってD、優しいんだもん。表情にも、言葉にも出さないし素っ気ないというか不器用というか...ではあるけど。
この世界ではハンターに追われ続け、安息の生活はないと二人は星々へと旅立とうとするのだが、ついにたどり着いた宇宙空港は既に廃墟と化していて...そんなはずはないと狼狽するマイエルリンクに貴方とどこまでも旅をというシャーロット。そしてそこで繰り広げられる、Dとマイエルリンクの最期の闘い.......互いに互いの気持ちがわかっているからこそ「痛い」闘い。見ているこっちまで痛くなってくる。
そしてやはりラスト。安堵と優しさをはらんだ無垢なる切なさ。
さすがD...と言っておく(笑)。
クリスマスのフロスト
クリスマスのフロスト
東京創元社
price : ¥987
release : 1994/09

名訳。

ミステリが好きですが、気が付けば海外の現代作品は殆ど読んでなくて、食わず嫌いは良くないな、と取り敢えず評判の高いこの作品を購入。
これがハマってしまいました。
同時進行、若しくは時間差攻撃のように次々と事件が発生し、刑事がそれらを追いかけていく形態を「モジュラー型警察小説」と呼ぶのだそうで、兎に角これでもかと事件が起きまくり、警察署は慢性的な人手不足。
そこで我らがフロスト警部(とその他)が、仕事中毒≪ワーカホリック≫振りを遺憾なく発揮してその捜査にあたるのですが、活動すればするほど事件はこんがらがって行く様相を。
事件自体は、実は陰惨なものだったりするのですが、フロスト警部のお陰(?)で笑いながらお話は進みます。
大抵、この手のダメ刑事は、何を隠そう本当は凄く切れ者だったりするのですが――。
で、事件がこんがらがるだけこんがらがって、いくらなんでも収拾つかないんじゃないか、と思われたんですが、最後は実に鮮やかな収束を見せてくれます。
この作者さんは脚本家でもあるそうで、ややこしい事この上ない長いお話を、流れるように、しかも一瞬たりとも飽きさせないで持っていくストーリー運びは素晴らしく見事だと思います。はい。
最初っから最後まで実に面白かったです。笑いました。「海外作品を読んでみたいけど…」という人にもお薦め!
お気に召したら続編も是非どうぞ(長くなってます)。
分冊文庫版 狂骨の夢 中
分冊文庫版 狂骨の夢 中
講談社
price : ¥620
release : 2005/08/12

分冊?

 人気の京極堂シリーズの三作目を分冊文庫化した作品です。金色の髑
髏をめぐり複雑に絡み合った事件が終盤で解きほぐされる件はもう夢中
になって読んでいました。分冊文庫化の意味が分からないので星は4つ
です。内容はファンでもあるし言うことありません。
ST 赤の調査ファイル
ST 赤の調査ファイル
講談社
price : ¥798
release : 2003/07

地味だけど内容はとても濃い

 派手なトリックやら痛快なアクションとかはないけど、ともかくこの作者の力量が並でないレベルに到達しつつあるようだ。もっと有名になってよいひとなのに残念だ。詳しい内容にはここではふれないが、 キャラの設定とストーリーが絶妙な相関関係で、最後まで一息に読まされてしまった。

 私自身一時システムなどで医療関係にも携わったことがある。その時、感じたとおりに病院の矛盾点が見事に描写されている。そればかりでなく現在の日本の実状(システムの根本的な再構築が必要だがそれができない日本的な事情)も、病院を通して明確にさらけだされている点もなかなかである。

 と、いうと結構重い作品に思われるかもしれないが、この作品を含むこの作者が描く小説の読後感のすがすがしさを私は!なものだと感じている。筆者の人格からそれはきているようだ。
 とまれ、先入観を持たずに一読をお薦めする。

英傑の日本史―新撰組・幕末編
英傑の日本史―新撰組・幕末編
角川書店
price : ¥1,575
release : 2004/11

噛み応えがあります

300ページにも及ぶ厚さもさることながら一人の人物を章立てにして
更に何気なく時系列にしている読みやすさが嬉しい。
人物を決して美しく書こうとはしていないし、俯瞰してみている感じが
とてもわかりやすい。
史実と著者の主観が混在しているので注意しないとイメージが固定されてしまう
感じも否めないけれどこれだけ一気に維新にかかわった人々を網羅した
本はないと思うので幕末・維新について知りたい人にもお勧めだと思う。
森博嗣の TOOL BOX
森博嗣の TOOL BOX
日経BP社
price : ¥1,575
release : 2005/10/13

アップル・フリーク全開(●^o^●)

2005年10月リリース。森博嗣がコンビュータ等周辺ツールを語った本である(コンピューターと最後を伸ばさない点にご注意いただきたい(●^o^●))

何しろ森博嗣でコンビュータと言えば当然Macである。デビュー作である『すべてがFになる』では主人公四季の使うMacSEが出てくるし、氏のWeb日記では研究室で大量にMacを購入している様子が綴られているとともに測定器とともについてきたVaioは付属品扱いである。つまりTOOL BOXもRes Edit(オールドMac使いのみ理解可能?(●^o^●))である。

写真入りで語られるコンピュータ・エッセイは予想通りの内容でMacフリーク全開である。氏の傾向として
1.できる限り安定した古い方のOSを使用する(まだOS Xにしていないのでは?(●^o^●))
2.できうる限りソフトウエアのアップデートはしない
3.できうる限りM社の製品は使わない(●^o^●)
が、ある。氏のほとんどの作品がクラリス・ワークスで書かれたのも有名な話だ。

まるでOld Macフリークのためにあるような一冊である。

分冊文庫版 鉄鼠の檻〈2〉
分冊文庫版 鉄鼠の檻〈2〉
講談社
price : ¥700
release : 2005/10

5年目の魔女
5年目の魔女
新潮社
price : ¥460
release : 2005/06

最後までのお楽しみ!

 読み始め、乃南作品らしくないと思いました。上司と同僚の不倫のために会社をやめることになったOL景子。その後、上司は死亡し、元同僚も音信不通。でもなぜか、元同僚に見張られている気がずっとしている。ある日、大きな仕事のチャンスがあり、その家に出向くとなんとその元同僚がその家の奥様になっていた・・・と。そのまではなんとなくよくありそうな小説で全然乃南作品という感じがしない。ところが最後の最後に景子がなぜそのように見張られていたかが解明。怖いですよ。女の執念というのか女の戦いが。
 ただ、乃南作品の中では、「凍える牙」や「涙」の方が作品としては上だと思いました。
風裂―神尾シリーズ〈5〉
風裂―神尾シリーズ〈5〉
集英社
price : ¥680
release : 2002/09

ザ・スタンド 5
ザ・スタンド 5
文藝春秋
price : ¥900
release : 2004/08/04

こんな面白い小説久しぶりに読んだ

キング作品を読むのは、これが初めてでした。
始めは5巻で長いし、ちょっとためらいがちに読み始めたんですが、この話はすごい。

スケールが大きい。
フルーの蔓延から悪との闘いへ。
ラストも一筋縄では終わらない、これからの人間のあり方を深く考えさせられました。
今の世の中、1歩間違えばスタンドの世界に入り込んでしまうかもしれません。
決してただのノンフィクションで終わらせることのできない作品です。

文冊文庫版 鉄鼠の檻〈4〉
文冊文庫版 鉄鼠の檻〈4〉
講談社
price : ¥520
release : 2005/11

隠密部隊ファントム・フォース(上)
隠密部隊ファントム・フォース(上)
文藝春秋
price : ¥690
release : 2006/03/10

地球儀のスライス
地球儀のスライス
講談社
price : ¥700
release : 2002/03

森ひろし

 の短編集。
 衝撃を受けることはないのだが、気楽に楽しめる短編。
 萌絵なども一部登場。全部が全部ミステリではないので、普通のエンタメとしての森博嗣を見たい人は是非。
炎蛹―新宿鮫〈5〉
炎蛹―新宿鮫〈5〉
光文社
price : ¥680
release : 2001/06

【商品詳細】

警察組織の暗部を知る者として、エリートコースから新宿署生活安全課へと左遷された鮫島警部が、新宿にはびこる犯罪に挑む長編刑事小説『新宿鮫』。1作目で吉川英治文学新人賞と日本推理作家協会賞を、4作目『無間人形』で直木賞を受賞し、ハードボイルド作家、大沢在昌の地位を不動のものとしたシリーズである。 第5弾となる本書は、外国人マフィア間の抗争、ラブホテル連続放火、売春婦連続殺人という、同時期に発生した3つの事件を鮫島が追う設定である。巧みな場面転換と鬼気迫る犯人たちの心理描写が物語にスピード感と臨場感をもたらしており、シリーズの中でも特にエンターテイメント性に優れた作品であるといえよう。加えて、これまで単独で行動していた鮫島が、今回はチームを組んで捜査する点が新鮮である。相棒となるのは甲屋(かぶとや)という名の農水省植物防疫官で、彼は南米から持ち込まれた稲の害虫「フラメウス・プーパ(火の蛹)」の付着したワラ細工を探していた。その所有者が、鮫島の追うイラン人マフィアの情婦だったのだ。ほかにも、東京消防庁予防部・吾妻や新宿署鑑識係・藪ら、職人魂をもった魅力的な男たちが登場する。彼らのプロフェッショナルな仕事ぶりがつづられているからこそ、陰惨な事件を扱った刑事小説でありながら、爽快な読後感が得られるのであろう。(冷水修子)

鮫島コンビを組む

本来は二人一組で捜査するのが刑事という仕事の原則であるが、鮫島だけは事情があって一匹狼で捜査する。しかし今回は、いっとき二人一組になる。相手は刑事ではない。農水省植物防疫官、甲屋公典である。この奇妙な組み合わせが、今回の作品をユニークなものにしている。そして、鮫島の存在意義を改めて説明している。
それは「組織の中での位置などに関心を持たず、自分の仕事に誇りを持つ」ということである。言葉では簡単だが、なかなか簡単な事ではない。その証拠に、その事を描くとこんな長編になる。
最終版、三つの事件がたたんでいく様子はどきどきする。終り方は気にいっている。
杜の都殺人事件
杜の都殺人事件
実業之日本社
price : ¥860
release : 2006/05/16

パノラマ島綺譚―江戸川乱歩全集〈第2巻〉
パノラマ島綺譚―江戸川乱歩全集〈第2巻〉
光文社
price : ¥1,050
release : 2004/08

パノラマ島へ連れてって!

 表題作のパノラマ島綺譚は
ポーのアルンハイムの地所を原案として
執筆されたことは周知の事実だが、
それに乱歩の変態趣味が加わり、
読者を素晴らしい箱庭世界へと誘う。
推理小説としては勿論、文学作品としても素晴らしい作品であり、
物語は淡々と進められるが、作中の描写などはまるで
ドアーズの水晶の舟の世界に迷い込んだかのようだ。
サイケデリックな西洋建築の美しさ、そして日本人の美学。
乱歩にしては毒々しさはなく、あっけらかんとした内容とも言えるが
クイーンのショウビズ的要素に似た世界が豪華に展開する。
水に眠る
水に眠る
文藝春秋
price : ¥470
release : 1997/10

幅広い才能を見せてくれる本

単行本の初版は1994年、北村薫ファンの僕が何故か見逃してきた作品集だが、読んでよかった。北村薫の小説には時として「君達は人間として最低これだけの教養がなけれなばね」風のところがあって、正直読む気を失せさせることがある。しかし、この作品は文句のつけようが無い。全体に香りがあって均質なレベルの高さがある。

本には10の短編が収められ、それらを11名の人々が解説をする豪華な企画の文庫。解説陣では山口雅也、加納朋子、若竹七海の三人が特にいい。収録作品に推理小説はないが、恋愛小説から艶笑談風なもの、幻想小説、近未来の家族ものまでありバラエティに富んでいる。文に湿り気と品があって、何度でも読み直したくなる一冊だ。

「恋愛小説」の甘さ、「水に眠る」の思わずナイフを手にしたくなるような幻想味、「植物採集」の男と女の微妙な心理の綾、「はるか」の少女の心の美しさ、「ものがたり」の隠された情熱、「矢が三つ」の艶笑談ぎりぎりの、でも決してそうならない未来の家族と性のありようを描いたものなどどれをとっても見事。人間への洞察も含めて文句のつけるところが無い。

読んでいて連想したのが泡坂妻夫だ。二人とも年齢が高いというのも共通しているが、作品が圧倒的な教養に裏打ちされていて、駄作が少ないと言う点でも似ている。しかも、決して寡作ではない。もし違いがあるとすれば、今のところ北村には時代小説がないと言う点だけだろうか。もし、あの古典などの知識を駆使して、王朝談や室町、江戸ものを書いてもらえたら、そういう期待を抱かせる幅広い才能を見せてくれる本。それにしても表題作の世界はしゃれた深みがあって、フランス音楽を思わせる。

小林洋介の最後の事件―多重人格探偵サイコ
小林洋介の最後の事件―多重人格探偵サイコ
角川書店
price : ¥460
release : 2003/05

漫画とはまた違う感覚。

漫画の方は去年の夏ぐらいに友人から借りて読みました。
その前から書店にある漫画の表紙を見たりしていて気になっていました。
私は心理系の話は大好きでしかも謎多き話でとても興味深いです。
少し殺しの場面や死体などは気分が悪くなる人が多いと思いますが、
だんだん読むにつれて謎も解けていくところが面白いところだと思います。

小説で読むのは初めてでしたが、漫画とはまた違う話も入っていて
楽しめると思います。なので、小説の方を集めてみたいと考えています。

松浦純菜の静かな世界
松浦純菜の静かな世界
講談社
price : ¥924
release : 2005/02/08

一気読み

内容はわりと重めの内容なのに、後味も悪くなく読むことができたのは
主人公達が若く青春小説のような語り口だったことが大きいと思う。
以前に読んだ、他の浦賀 和宏作品に比べても全体的に爽やかだった。
かといって軽いと言うわけではないが、最後までぐいぐいと引っ張られ一気に読んでしまった。
読み応えは十分だと思う。
ママ、死体を発見す
ママ、死体を発見す
論創社
price : ¥2,100
release : 2006/04

世紀末大バザール 六月の雪
世紀末大バザール 六月の雪
東京創元社
price : ¥1,890
release : 2006/06/27

レストア  オルゴール修復師・雪永鋼の事件簿
レストア オルゴール修復師・雪永鋼の事件簿
光文社
price : ¥840
release : 2006/03/23

メビウス・レター
メビウス・レター
講談社
price : ¥650
release : 2001/02

ちょっと不完全燃焼の結末

「すべてがひっくり返る驚愕の結末とは」という言葉に惹かれて買ったのですが、うーん、確かにひっくり返ってはいるんですけれど、犯人はどうしてその人を殺さなければならなかったのか、どのようにして殺したのか、というようなことが描ききれておらず、読んだあとに何の感情も湧いてこないというか、あまりにあっけない結末に「え、それで終わり!?」と少し物足りない気がしました。

北森氏の作品の魅力は、その場の空気やにおいまで感じ取れるようなうまい文章、登場人物の魅力的なキャラクターにあると思っています。『花の下にて春死なむ』の工藤哲也とか『凶笑面』の蓮丈那智とか。今回のストーリーの性質上、あまり主人公について詳しく書くこともできなかったのでしょうが、なんだかぼやけたまま最後まで来てしまった、という感じが否めない。
過去から届く手紙の主の意図は?なぜ阿坂龍一郎あてに届くのか?男子高校生は本当に自殺だったのか?などの謎は幾分おもしろかったものの、”傑作”というには程遠いできではないかなあと思います。

あなた〈下〉
あなた〈下〉
新潮社
price : ¥500
release : 2006/01

虹を操る少年
虹を操る少年
講談社
price : ¥650
release : 1997/07

反体制?

「絶対音感」ならぬ「絶対色感」を持った少年・光瑠は、光を用いた「光楽」の演奏を開始し、若者達の心を捉えて行く。

分類が難しいのだが、「天才」とか、「超人」みたいな人が世界を変えていく・・・という感じだろうか。何と言うか・・・イメージとしては、「穢れた大人」「純真な子供」みたいな対立を中心に成り立っている作品だなぁ・・・という風に感じた。絶対的に悪い、とは言わないが、あまりにもそれが協調されすぎている感じがしてちょっと不満だった。

ラストシーンは賛否両論だが、こういう終り方がベストだったように思う。

沈黙
沈黙
早川書房
price : ¥882
release : 2005/08/21

ホークの過去

今回は、ストーカー・レイプ・性中毒・人種問題・ゲイという余り触れたくない事柄を真正面からスペンサーとホークが取り組みます。また、今回も金にならない仕事ですが。ホークの少年時代が語られるくだりはファン必読。スペンサーの事務所でホーク、依頼主のボビィの三人がコーンブレッドを食べているところは、歳をとっても男はいつまでも少年の心のままだなぁと、思わずネットでコーンブレッドのレシピを探してしまいました。
中央構造帯〈上〉
中央構造帯〈上〉
講談社
price : ¥560
release : 2005/09

閃光
閃光
角川書店
price : ¥860
release : 2006/05/25

炎(ひ)と氷
炎(ひ)と氷
祥伝社
price : ¥830
release : 2006/03

江戸川乱歩全集〈第13巻〉地獄の道化師
江戸川乱歩全集〈第13巻〉地獄の道化師
光文社
price : ¥1,100
release : 2005/08

「地獄の道化師」など

本巻には「地獄の道化師」「暗黒星」「幽鬼の塔」に少年探偵団
ものの「大金塊」が収録されている。「地獄の道化師」はおどろ
おどろしい展開ながら、本格的な犯人探しものに全力投球した
乱歩がうかがえる佳作である。エログロ表現を書けなくなった
当時でも乱歩の筆は読者にからみつくような力を持っている。
バイバイ スクール―学校の七不思議事件
バイバイ スクール―学校の七不思議事件
講談社
price : ¥651
release : 1996/02

吾妻ひでおの挿絵がいい

小学6年生の女の子が主人公のミステリーです。最後に読者への挑戦というのが出てきて本格ミステリです。もちろん分かりませんでした。

吾妻ひでおさんの絵の上手さにも驚きました。この本は吾妻ファンにも必携だと思います。トリックは「やられた!」の一言です。

葉桜の季節に君を想うということ
葉桜の季節に君を想うということ
文藝春秋
price : ¥1,950
release : 2003/03

葉桜の季節に君を想うということ

読みやすい文章なので、早い時間で読み終わります。いくつかの場面が進行していくのでどうつながるのかと思っていたら、あー、そうなるんだぁ。という感想です。たくさん読む本の中の1冊として読むにはお勧めです。
新青年傑作選怪奇編 ひとりで夜読むな
新青年傑作選怪奇編 ひとりで夜読むな
角川書店
price : ¥720
release : 2001/01

ミステリ界の巨匠達の作品

ほとんどが昭和初期に書かれたものであるため、現代人の私が読んでも背筋が凍る程の恐怖を感じることはありませんでした。
もっとも著者達は、現代ミステリ・ホラー界にとっも先導的立場にある人々であり、その影響を受けた後世の作家の、同じような雰囲気の作品を私が読み慣れてしまったせいかもしれません。

また、当時の人々が恐怖していたもの(医学的に解明できない奇病、医学的にありえる奇形等)と現代人が恐怖するものの間に微妙なギャップがあるのかもしれません。
当然、この短編集の中にも、人の心の病を題材にしたものが多く、読んでいてゾクッとしたことも度々でした。

古典的情緒あふれる文体も魅力的だし、友達にも勧めたい気もするが、さてこの本は、旅のお供にピッタリか、それとも秋の夜長にピッタリかと考えると、ちょっと微妙なので☆4つにしました。

くちづけは眠りの中で
くちづけは眠りの中で
二見書房
price : ¥870
release : 2005/06

【商品詳細】

高額の報酬。求められるのは手際のよさとプロの技術。弁解はいらない――それがリリー・マンスフィールドの仕事、CIAの契約エージェント、つまり雇われ暗殺者だ。彼女が標的にするのは、権力があり、法律では裁くことのできない悪者たちだ。 19年のキャリアののち、リリーは個人的な恨みを晴らすために、認可外の危険なゲームにのめり込む。しだいに大胆さを増していく動きを通して、彼女は強敵の注意を引き、自らの命を危険にさらす。だが、緊張と憤慨で勇みがちになりながらも、自分の命が一瞬で奪われる可能性を承知してもいた。彼女には、来るときが来れば戦おうという決意があった。 同じくCIAのエージェントであるルーカス・スウェインは板ばさみに苦しむ。彼の任務はリリーを連行するか、その行動を止めること。だが、彼自身もリリーのゲームに引き込まれ、危険な綱渡りを始める。世界的大事件の発生を避けながら、執拗につきまとう敵と戦うのである。リリーは目の前の仕事に集中しながら常に背後を警戒する。だが彼女は、前途にある致命的な危険に気づいていなかった…。忠節にどれほど価値があるかということにも。 息をのむアクション。リンダ・ハワードをロマンティック・サスペンスの巨匠と呼ばしめる官能性。読者の心に住み着き、そこで息をする個性豊かな登場人物たち。情熱と驚きの詰まった大胆なスリラー、『Kiss Me While I Sleep』は、リンダ・ハワード作品のなかでも特別に興味深く、複雑な小説である。

読むのではなく聴くのもイイですよ

オーディオCDで聴きました。

Lilyが何故自分の人生すべてをかけて巨悪に単身戦いを挑むことになっていったのか、テンポよく進むストーリー展開は作者のplotの巧妙さだと思いますが、オーディオ版では2人の朗読者のうまさが光ります。
全体としは、かなり会話部分が多く、とても臨場感があります。
突如、目の前に現われた謎の男、Lucas Swainは敵か味方か、探り合う会話や、次第に信頼して心とからだを許しあうようになってからの甘えた会話は、暗殺者というハードな表面を持ちながら、それでもやはり内面は別なんだという2面性をうまく出していると感じました。 
それにしても、unbridged版でCD9枚は聞き応えたっぷり。

臨機応答・変問自在―森助教授VS理系大学生
臨機応答・変問自在―森助教授VS理系大学生
集英社
price : ¥714
release : 2001/04

教育者森も秀逸

2001年4月リリース。森助教授の授業をそのまま本にしたとも言えるもので、書くものは全て無駄なく出版し印税とするスタンスが貫かれていて清々しい。(●^o^●)

森氏は先生としても立派な人だったことが良く解る。つまりは手抜きの時間が一ヶ所もないのだ。僕は純粋の文系人間のせいもあるのかもしれないが、森氏のスキの無さに比べて理系学生はあまりにあまりに幼稚だ。ガッカリきてしまう。(●^o^●)

それ以上にガッカリくるのはN大である。これほどの逸材を何故いつまでも助教授に止めおき、義理と人情とムダに充ち満ちた意味のない会議会合にこの天才の時間を割くことを強い続けたのか!!!!!!!!!!ほんとにものの価値が解らないにも程がある。よーーーーく目を開いてこの人の価値、そしてこの人が食事と睡眠の時間を削ってでも表現したかったものに気がつくべきだ。それができないとしたらやはり教育者としては0点と言い切ってやろう。そのくらい怒っているのだ。

この中にも出てくるが、『会社の待遇に文句のある人がいたとしょう。どうして、その人は会社を辞めないのか、といえば、辞めて面倒なことになるよりは、今の待遇でも我慢しているほうが楽だからだ。』と森氏は言っている。でも森氏は辞めたのだ。これほどの人物を気持ち良く大学に置いて置ける境遇を創れるくせに創らなかったN大は本当に鈍感である。

この人以上に教授にふさわしい教育者がN大にいるわけがない、と僕は思う。(違いますか???)

アメリカン・タブロイド〈下〉
アメリカン・タブロイド〈下〉
文藝春秋
price : ¥700
release : 2001/10

アメリカン・ナイトメア

アメリカ人はアメリカン・ドリームを心の底から本気で目指すよう、幼い頃から、徹底的に教育されるのだろう。限りない上昇志向ー現在でも16歳の試験で将来がほぼ決まってしまうイギリスがもつ、あきらめにも似た閉塞感を、彼らはこれっぽっちも持ち合わせてはいない。
そして「父親」という存在に異常なほど固執する。

この作品、表向きはみなさんが書かれているような、アメリカの暗黒史なのだろうが、読後僕が感じたのはこの「父性」だった。自分の父親に限らず、自分や自分のステイタスやアメリカという自分の国がもつ「父性」を彼らは追いかける。それはギャングのボスであったり、FBIの長官であったり、大統領だったりする。自らは手に入れられなかったアメリカン・ドリームを具現した彼らに、何とか取り入られよう、愛されようとする。それは幼い子どもが父親に抱いてくれーとせがむ姿に良く似ている。

これは「アメリカの子供たち」の物語だ。愛されない、受け入れられない、と気づいた彼らはものすごいスケールでの家庭内暴力を繰り広げはじめる。その負のエネルギーはどこから来るのだろう。それはアメリカン・ドリームへと彼らを駆り立てるものと正反対のベクトルをもつ、負のエネルギーなのだ。こういうエネルギーがアメリカを創ったのだなあ、と最近のテロ関連の出来事とあわせて、あらためて痛感させられた。エルロイの描くアメリカは、彼自身の愛憎の対象でもあるのだ。

くもはち―偽八雲妖怪記
くもはち―偽八雲妖怪記
角川書店
price : ¥540
release : 2005/12

サイレント・ゲーム〈下〉
サイレント・ゲーム〈下〉
新潮社
price : ¥780
release : 2005/10

カディスの赤い星〈上〉
カディスの赤い星〈上〉
講談社
price : ¥680
release : 1989/08

苦痛

 読んでいて非常に苦痛。話が面白くないわけではない。どでかい賞も取った作品に何を言わんやだが、だからこその失望。
 主人公がキザで、スポーツカー好きな所などは、大沢在昌等の作品好きには
たまらないかもしれないが。
 大藪や船戸のファンはスルーするのが懸命か。
 何かジャニーズの歌を延々と車中で聞かされた気分だ。

 つまり、苦痛ってこと。

真夜中への挨拶
真夜中への挨拶
早川書房
price : ¥1,890
release : 2006/02

月の影 影の海〈下〉十二国記
月の影 影の海〈下〉十二国記
講談社
price : ¥560
release : 2000/01

かけがえのない友

陽子の過酷な旅も終わり、そこで出会うかけがいのない友、楽俊。

何故、このような異世界に来なければならなかったのか、楽俊と陽子は、手がかりを探しに旅に出る。楽俊を信じ、親友となるまでの陽子の心の葛藤。人に何かをして貰うのを待つだけじゃなく、自分が、相手に何かをする事によって、お互いに支え合う事が成り立っていく。そんな当たり前だけれども難しい、忘れがちなことを、考えさせられた。

そして陽子の旅の真実が明かされ、陽子は大きな決断をする。成長した陽子の、凛とした美しい女性にとても魅力を感じた。

知りすぎた女
知りすぎた女
新潮社
price : ¥900
release : 2006/02

女ともだち
女ともだち
講談社
price : ¥1,680
release : 2006/06/23